別府 浩一郎

2022年11月19日1 分

住宅市場急悪化の中の米住宅ローン統計

このところドルおよびドル金利の上昇一服を背景に、ソブリンCDS保証料率の沈静化が目立つ。先々週の米国10月CPIに続き、先週は同PPIの上昇鈍化が囃される場面もあった。ただ、FRB高官から政策金利の早期軟化を否定する発言が相次いだこともあって、FF金利先物市場におけるFF金利予想カーブの来年前半部分は、先週末、10月CPI発表以前の水準に戻った。当週報前号ではミシガン大調べ消費者インフレ予想が低下から再度、上昇に転じていることを見たが、NY連銀調べ消費者インフレ予想でも同じ傾向が見られる。

一方、利上げ鈍化観測を正当化する数値が少なくないのも事実だ。NY連銀調べでも、NFIB調べでも、企業の価格DIは完全にピークアウトしている。そして、何といっても住宅市場関連統計の著しい鈍化だ。ただし、こちらは不安材料でもあるため、いくつかの点を確認しておこう。中古住宅販売件数は直近10月が年率443万件。本年1月から31.7%急減し、20年5月同407万件に迫った。その割には、販売在庫月数は極端な悪化は見ていない。住宅ローン新規貸出額のうち、サブプライム層向けは21年第1四半期3.9%から本年第3四半期は7.5%まで上昇。ただ、水準、絶対額とも危機的と言うには程遠い。住宅ローン債権の各種遷移率も、今のところは極端な悪化は見ていない。