別府 浩一郎

2020年8月24日1 分

伸び切ったゴムを更に引き伸ばす

主力ハイテク株中心に株価の強さが際立つ米国だが、8月のConference Board調べ消費者信頼感指数は、事前予想の小幅改善とは逆に、コロナ禍でのボトムをわずかながらも更新する結果となった。感染者数の再拡大は一巡しつつあるものの、依然、家計マインドへの重石にはなっている。一方、それとは極めて対照的に、住宅関連業者の景況感指数である住宅市場指数は、今8月に98年12月と並ぶ過去最高水準まで急改善している。米国住宅市場に関しては、当週報5月24日付号、5月27日付号、7月12日付号で、流通市場における販売在庫水準の低さ、日本と異なり住宅ローン金利の低下が住宅ローン需要を喚起し得る状況にあることを繰り返し見て来た。実際、住宅ローン新規貸出額は大幅に伸び、中古・新築住宅販売件数、住宅着工件数も大きく改善した。

パンデミックは本年第2四半期の各国・各地域のGDP大幅縮小をもたらした。同時に、各国中銀のバランスシートは急拡大を余儀なくされた。結果、「中銀総資産/名目GDP」は急上昇したわけだが、相対的にFRBが圧倒的に優位な立場であることは論を待たない。それに対し、日銀は伸び切ったゴムを更に引き伸ばしている状態だ。米国株がバブルかどうかとか、それが破裂するかどうかを心配している余裕は無い。