藻谷 俊介

1月15日2 分

世界景気先行指数 12月分

12月の世界景気先行指数(速報)は季調済前月比+0.4%の163.8となった(図4A)。11月は0.2ポイント下方修正されて163.2となっている。

今月も合目は遡及下方修正されて、12月は7.6合目と10-11月の速報とほぼ同じ(図4B)。つまり、過去が下方修正されて、末端月の位置はずっと7.6合目のままということになる。11月は7.6合目から7.2合目に、10月は7.1合目から6.8合目に、9月は6.7合目から6.4合目に下方修正された。

高速で合目が上昇した時期の後には、このような停滞期があり、いわば先に駆けたウサギ(CLI)が寝てしまい、カメ(景気実態)を待つような展開になる。実際のところ、CLIは途中は速くても、先にゴールして景気の天井を示すことはない点でもウサギと似ている(左記)。筆者が約20年間観察してきた期間は、カメが必ず先か同時にゴールした。

加重の大きい中国のCLIが独り強い数字になっている状況に変わりはない(図3頁、4M)。原因は不動産不況による今回特有の重荷がCLIには表れず、景気循環指標の改善だけが反映されているからである。ただ、各国や機関の景気動向指数の類いに不動産系の指標が入ることはほぼないので、OECDメソッドだけが劣っているのではない。

以上のような事情もあるので、今回から6頁に中国を入れた合目(従来)と、除いた合目を示した。後者は見事に半好況を体現しており、今の世界株価の4.3合目ともほぼ同じである。

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