藻谷 俊介

2020年10月20日1 分

世界インフレ率 9月分

最終更新: 2020年11月11日

6~8月は堅調に上昇した世界物価だったが、世界CPI、PPIともに9月は上昇のペースが落ちた(図4A、7A)。先月、近年最高レベルまで回復したインフレ率は、限度を超えるインフレになるのかどうかが焦点だったが、頃合い良く低下した(図4D、7C)。先月号で、「余ったマネーが世界中に作り出した工場による供給過剰は続き、モノのインフレは当局を狼狽させるまでは加速しないだろう」と述べた通りの展開と考える。

世界マネーサプライ伸び率も一段と落ち着いてきた(図13A、C)。トルコの利上げ転換で、世界政策金利はこの局面で初めて上昇した(図14K)。トルコは幾分特殊例と思われやすいが、他国ももはや利下げをしてはおらず、大底圏での転換には意味があると思う。ペースを落としたインフレと相俟って、サステイナブルな回復を探る動きが本格化しよう。

ただ、供給に限りがある不動産や有価証券などのアセット・インフレが、同時にうまく抑え込めるかどうかにも注目している。