藻谷 俊介

2023年9月23日1 分

世界インフレ率 8月分

8月の世界CPIインフレ率は、リアルタイム(直近3ヶ月区間の平均伸び率の年率換算値)で4.2%で、7月の3.2%、6月の2.5%より着実に上昇し、過去10年平均を大きく上回っている(図4A、D)。

PPIインフレ率は、昨年8月からデフレ局面に入っていたが、6月を底にして反発してきた(図7A)。リアルタイムでも当然底入れしており、現在は過去10年平均を上回り3.3%に達している(図7C)。

ウクライナ侵攻に始まった超インフレと、その後の修正が一巡した後は、通常のインフレ(速度計グラフで青線付近)が続くと考えてきたが、世界CPIは原油価格の上昇を受けて、多少オーバーしてきた。

インフレが一旦正常化した以上、一方的な利上げは止めて、ここからは是々非々でとの筆者の考えは変わらない。9月も露土欧の3か地域が利上げし(図13頁)、世界政策金利は30bpも上昇して5.94%となっている図15K)。ただ、折しもリアルタイム・インフレ率が再び上昇してきたので、実質金利は一段と低下して懲罰的水準にはなっていない(図15L)。

世界実質賃金伸び率はリアルタイムで1.9%に微低下(図10B)。緩慢な景気回復が続き、景気、インフレ、金利の是々非々のバランスが保たれている。ただいつか2%インフレが定着した場合には、6%近い名目政策金利は高すぎることになる。