藻谷 俊介

2023年11月21日2 分

世界インフレ率 10月分

10月の世界CPIインフレ率は、リアルタイム(直近3ヶ月区間の平均伸び率の年率換算値)で2.0%と前月の3.5%から急落(図4A)。最近は資源エネルギー価格に合わせてアップダウンしてきたが、それが元の勢いに収斂したので(図8J~K)、CPIもそうなったわけである(図4D)。

PPIインフレ率はリアルタイムで2.3%(図7A)。速度計はCPIの波形より下がり遅れているように見えるが(図7C)、この程度のずれは許容せねばなるまい。PPIも平均速度以下になっている点では同じである。

世界インフレ率が2%台に戻ったことは歓迎すべきことだが、困ることもある。実質金利が上昇するのだ。計算上のこととはいえ、リアルタイムの実質政策金利は4.22%(図15L)、同長期金利は3.56%と跳ね上がった(図11M)。すぐに景気の息の根が止まるとは思わないが、①今の循環的な景気回復によって再びある程度高めのインフレ率に戻るか、②そもそも図8J~Kから忠告してきたきたように、インフレ正常化を見越して最初から過度な利上げはしないでおくべきだったか、③パッチワーク的な利下げをするか(13頁には既にそんな国もある)。何らかの辻褄合わせが必要になる時が来るだろう。

9月の世界実質賃金伸び率はリアルタイムで横ばいに低下(図10B)。ここにもある程度のぶれを許容せざるを得ないが、実質金利と逆に、実質賃金はインフレ率が低下するほど上昇し、歓迎される。10月は再びプラスに戻るだろう。