別府 浩一郎

2023年4月29日2 分

ワクチン接種率に見る国民性・県民性

ウィズコロナへの移行が遅れた我が国では、非製造業の業況サイクル改善はぎくしゃくとした歩みとなった。それでも製造業の同サイクル悪化を補うには足りたようだ。新型コロナウイルスの感染症法の2類から5類への移行は、非製造業中心に景気を更に後押しする。3月下旬以降、新規陽性者数は緩やかに拡大しつつあるが、発表頻度の低下や行動制限の可能性が無くなることで、家計マインドへの影響は自ずと限定的となる。本格的な「脱マスク」は暫く時間が掛かりそうだが。

それにしても、コロナ禍は日本の特徴を映し出す鏡ではあった。例えばワクチン接種である。百人当たり総接種回数、ブースター接種回数のいずれにおいても、主要国の中で最高かつ伸び率のピークが1年ほど後ずれした。最大の理由はもちろん、我が国が超高齢化社会だということだ。Our World in Dataでの数字に従えば、65歳以上人口比率は、日本は27%(総務省2022年人口推計では29%)、イタリアは23%、以下、21%台の3ヵ国が続く。日本の65歳以上高齢者は3回目接種率まで90%超とほぼ問答無用だった(第7頁)。もう一つの理由として、自主判断を避け横並びを好む気質もあるだろう。

もっとも、高齢者を除けば、日本の中でも大きな違いはある。「12歳~19歳」の3回目接種率を都道府県別に見ると、最も高い秋田県の約70%に対し、最も低い沖縄県は約28%と半分以下に留まる。また、接種率上位には秋田県以下、山形県、岩手県、福島県と東北の県が並ぶ。逆に、下位は沖縄県以下は、大阪府、和歌山県、兵庫県、京都府、奈良県と、軒並み関西圏だ。ほぼ親世代に当たる「50歳代」まで概ね同じ傾向が見られる。