別府 浩一郎

2021年5月30日2 分

ユーロ圏景況感に見るワクチン効果

MSCIの指数で、日本株は円ベースでは3月18日(TOPIXは3月19日)、ドルベースでは2月16日を本年高値として、以後、揉み合いが続いている。米国株はもちろんのこと、最近ではユーロ圏株にもパフォーマンスが見劣りすることに関しては、ワクチン接種の大幅出遅れの影響は否めない。実際、本日発表の内閣府「消費動向調査」とは対照的に、先週末発表の5月ユーロ圏景況感ではワクチン効果が強く感じられた。総合的景況感指数(ESI)は前月比4.0ポイント上昇の114.5で、18年1月以来の高水準となった。内訳の中で最もウェイトが大きくコロナ禍からの改善を牽引して来た製造業信頼感指数は、前回4月8.8ポイント上昇に対し、今回は0.6ポイント上昇に留まった。もっとも、水準は既に過去最高に達している。一方、昨年10月から本年2月まで停滞していたサービス業信頼感指数は、3月7.4ポイント、4月11.8ポイント、5月9.1ポイントと連続して大幅上昇。ワクチン普及による経済活動再開を急速に織り込む形となった。

消費者信頼感指数の3月以降の各月上昇幅は4.0ポイント、2.7ポイント、3.0ポイントと、サービス業と比べると見劣り。ただし、「今後1年の失業懸念」DIを含む旧来の消費者信頼感指数ベースでは5.3ポイント、3.5ポイント、6.3ポイントと、上昇幅が広がる。「今後1年の失業懸念」DIは直近5月に15.5ポイントも改善した。「経済全般の状況」は「今後1年」DIの-1.2に対し、「過去1年」DIは-56.6。前者のみが消費者信頼感指数の構成要素である。