別府 浩一郎

2020年9月13日2 分

コロナ禍で改めて鮮明な企業規模別格差

内閣府・財務省「法人企業景気予測調査」における貴社(自社)景況判断BSIは、前四半期と比べ「上昇」と回答した企業の比率から「下降」と回答した企業の比率を引いたものである。今7-9月期調査では、大企業製造業が0.1、大企業非製造業が2.9とわずかながら水面上に浮上。10-12月期、来年1-3月期の予想値は大企業、中堅企業に関しては概ね0近辺。今冬の新型コロナウイルスの感染状況は見通し難いものの、ワクチン・治療薬への期待もあり、全体として様子見姿勢と言えよう。

7-9月期貴社景況判断BSIを規模別・業種別に見ると、大企業ではプラスとマイナスの業種数が拮抗した一方、中小企業では全業種ともマイナスで、企業規模別格差は明瞭だ。電気機械の場合、大企業は4.8だったのに対し、中小企業は-50.3と大幅マイナスだった。大企業でプラス幅が大きかったのは自動車・同附属品43.8、娯楽38.2、宿泊・飲食サービス35.2など。4-6月期にコロナ禍の悪影響を特に強く受けた業種だ。前四半期がひど過ぎたため、今四半期が大幅プラスとなるのは当然と思えるが、これら業種の7-9月期予想値は順に-2.3、-14.5、6.4と慎重だった。足元の活動水準そのものはまだまだ低いとしても、想定よりましであることは間違いない。対照的に、予想値が33.3と非常に高かった職業紹介・労働者派遣は-16.7に留まった。製造業・非製造業別、規模別で見た従業員数判断BSIはごく小幅な反発、先行きはほぼ横這いとなっている。何の驚きも無いことではあるが、中小企業景況感とも併せ、家計マインドの足取りの鈍さを改めて示唆する数値ではあろう。