別府 浩一郎

2022年3月4日2 分

ウクライナ情勢激化前の2月ユーロ圏景況

2月のユーロ圏景況感指数は、足元で一段と深刻さを増すウクライナ情勢は織り込んでいない。一方、新型コロナウイルスの感染状況の改善は反映している。具体的には、昨年12月と本年1月で計9.1ポイント大幅悪化したサービス業信頼感指数が、2月は3.9ポイント改善。12月に2.6ポイント悪化した小売は、1月2.6ポイント、2月1.7ポイント連続して改善した。消費者信頼感指数は小幅ながら5ヵ月連続悪化。家計の資金繰りに関する見方が慎重になっている。コロナ後の経済好転への期待も昨年6月に早々とピークアウトしている。ただし、現在の消費者信頼感指数の構成要素に含まれていない「今後1年の失業予想」は、直近2月調査で大きく改善。企業側から見た雇用予想指数もコロナ禍前のピークを上回り、2000年5月以来の高水準だ。ウクライナ情勢の極端な悪化はこれらの数値を無意味化させかねない。

内閣府「消費動向調査」では、本年1月に「雇用環境」が前月比4.8ポイント急悪化、「耐久消費財の買い時判断」が1月・2月計4.7ポイント大幅悪化、「暮らし向き」が1月・2月計3.2ポイント悪化した(いずれも二人以上世帯・季調値)。原因となった感染第6波は高止まりが続き、生活関連物価の上昇はこれからが本番である。家計マインドの水準は全体では21年1月よりは上だが、「世帯年収300万円未満」、「世帯主年齢70歳以上」、「非正規雇用」などでは既にその水準だ。