藻谷 俊介

2023年6月12日1 分

PPI企業物価 5月分

最終更新: 2023年7月16日

日経の報道から「なお5%台」と言う表現が消えた。先月は前年同月比5.8%という数字に対して、「4カ月連続鈍化もなお5%台」と報道し、筆者はそれを批判した。今月も同5.1%で、今月こそ「なお5%台」なのだが、さすがに見当違いの表現であることを感じたのだろう。

5月分が入ったことで、グラフ内に朱記しているリアルタイム・インフレ率が、政府の電気ガス補助金の影響を受けなくなった。今月から元通りに「朱記値=足元のインフレ率」である。

それによると、総合では-1.3%(デフレである)、エネルギーを除くで+0.5%となる。すでに先月時点で1%を切っていたことを計算の上で示したが、やはり今月も1%を超えてはいない。だから「なお5%台」は、見当違いと言わざるを得ないのである。

また、総合ではついに価格がはっきり下落に転じたのであるから(図2A)、すなわち値下げ勢が値上げ勢を上回ったのであるから、右記事のように惰性で「価格転嫁」にこだわり続けることも、悪しき世論誘導である。

図2C~Dが示すように、完全に企業物価のインフレは終わったのである。過去2年間の頭を切り替えない限り、今の市場は理解できないはずである。

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