藻谷 俊介

2023年1月22日2 分

PPI企業物価 12月分

図5Dによると、契約通貨ベースの輸入物価は10月から、円ベースでも11月から下落が始まり、企業物価全体の反転も近そうであるが、先月も述べたとおりいくつかの要因で遅れている。

一つは、エネルギー価格がピークアウトしているにもかかわらず(図2K)、価格転嫁を先送りする電気料金計算式のせいで年率84.4%もの勢いで公共料金(図4C)が上昇していること。工業製品のインフレだけなら4.6%まで下がっているが(図3M)、これがあるせいで全体がまだ9.7%ものインフレになっている(図2A)。一時的な変動で電気料金がふらふら動かないようにする目的は理解できるが、今回のように継続的かつ大幅にエネルギー価格が上がる場合は、ある程度追随を速くしないと、1年も経ってから値上げという無能感漂う結末になってしまう。

もう一つは、図5D赤線と図3Mを見比べたとき、これまでは円ベース輸入物価の下落と工業製品価格の下落のタイミングに時差はほとんどなかったのに対し、今回は2ヶ月経っても工業製品価格の上昇が続いていること。これは恐らく過去に我慢していた値上げを、今押し込んでいるからだろうと思われる。

これらが日本特有のインフレ第4波(図2C)の正体だ。とは言え、第4波も今月から縮小に入っている。コロナもインフレも諸外国対比でもたもたしてしまったが、終わりは必ず訪れると放念するしかない。