別府 浩一郎

2023年5月28日1 分

NVIDIA決算前の米セクター別EPS予想

先週の米国株式市場では、驚愕の5-7月期売上高見通しを発表したNVIDIAを牽引役としてITセクターが急騰した。先週末の株価は21年12月の過去最高値まであと約7%の水準だ。11有るセクターの大半は株価が伸び悩んでいるため、相対株価では過去最高を大幅に更新した。

NVIDIAの売上高見通しが発表される直前の段階で、S&P Dow Jones Indices社が集計・発表していたセクター別EPS予想が興味深い。23年予想はITセクターは前年比9.7%増で、S&P500種全体の10.6%増を小幅に下回る。一方、24年予想ではITセクターは20.5%増で、S&P500種全体の11.8%増を大きく上回り、11セクター中1位。生成AIへの期待が爆発する前の時点で、業績予想面では優位性を有していた。2位以下は一般消費財17.8%増、コミュニケーション・サービス14.6%増、ヘルスケア13.0%増の順。最下位は金融セクターの3.6%増。その相対株価は依然、浮上の兆しが見えない。

ITセクターに関しては、経験則上の過熱感を指摘することは出来る。同セクター株価指数の200日線からの乖離率は節目の20%を一気に超え、21.8%に達した。1990年代後半のITバブル期には40%超えが頻発したが、この時を例外とすると、30%超えはコロナ・ショック安後の反動高による20年9月の例のみ。「20~25%」は乖離率のピーク圏足りえる。S&P500種時価総額に占める広義IT関連株の比率は、過去最高の37.9%にあと0.3ポイントまで迫った。40%だと相当な過熱感を覚えるだろう。