別府 浩一郎

2021年2月24日2 分

IT下落より印象深いもの

米金利上昇に関する懸念が連日報道されている。主として長期金利についてだが、FF金利先物市場でも2023年のFF金利予想水準が1ヵ月前と比べ10 bp切り上がった。2月12日に発表されたミシガン大消費者サーベイの2月速報値では、今後1年インフレ予想が3.3%となり、昨年5月の3.2%を上回って、2014年7月の水準に並んだ。ガソリン価格が急速に回復して来たことも大きな要因だろう。ガソリン先物価格は速報値発表前の水準から足元は更に15%上昇している。

10年物金利が昨年2月下旬以来の1.3%台に乗せた先週火曜からの5営業日で、S&P500指数は史上最高値から1.5%微調整した。ITセクターは6営業日で4.4%下落し、金利上昇の影響を印象付けた。相対株価は昨年9月以降のボックスをはみ出すものではない。ITの下落より、むしろ生活必需品、ヘルスケア、公益の低迷の方が、景気回復に対する期待の強さの裏返しとして、印象深い。ひどい下げなので、逆張り的にはこれらセクターに食指が動いてもおかしくはない。しかし、長期相対株価では中途半端な位置にある。長期逆張りの観点から選好されているのは金融などだ。ITセクター相対株価はボックスの動きが続きそうだ。

金利上昇に対する懸念とは裏腹に、ソブリンCDS保証料率は非常に落ち着いた動きが続いている。イタリアはドラギ首相誕生で、08年9月、リーマン破綻で急悪化する前の水準まで改善。イギリスは08年5月以来の水準まで改善している。