別府 浩一郎

2021年6月20日2 分

FRBの判断より危うい判断

最終更新: 2021年6月22日

先週末の米国株、週明けの日本株はFRBの政策金利引き上げ前倒し懸念で大きく下げた。もっとも、6月13日付当週報で「米国家計純資産を個人可処分所得で割ったストック・フロー・レシオと最広義失業率のXYグラフも相当修正して見る必要がある。今後は資産価格の上昇は緩やかに抑制しつつ、縦方向での改善進捗が望ましい」と書いた立場からは、今回のFOMCに違和感は無い。2023年末のFFレート見通し中央値が従前の0.125%から0.625%に上昇したことも、FF金利先物市場は事前に織り込んでいた。清算価格から算出した2023年12月のFFレート水準は、5月雇用統計発表後の6月4日が0.635%、5月CPI発表後の週末6月11日が0.610%だった。2022年中の利上げ」も3月FOMC後からそれを織り込む兆しはあった。セントルイス連銀のブラード総裁発言が利上げ機運を一層助長したが、それでも2024年末でもFF金利先物が見込むFFレートは1%に満たない。主力ハイテク株が昨年9月初め以降、過熱感を解消する動きが続いて来たこともむしろ幸いだ。

消費者庁「物価モニター調査」における「今後3ヵ月の消費支出」DIは、本年3月の-45.0を直近ピークに、4月、5月は3.4ポイント、1.4ポイント悪化。直近6月は1.7ポイント改善し-48.1となった。緊急事態宣言下でも、もはや慣れから落ち込みは限定的だった。更に、今週、緊急事態宣言が解除され、「観客有り」での五輪に突入しつつある。東京都の実効再生産数が1以上に再浮上していることを考えると、FRBの判断よりこちらの判断の方が危ういと言うべきだろう。