藻谷 俊介

2021年10月29日1 分

CPI消費者物価 9-10月分

当冊子のキーチャートである図2M黄線(図2Gを拡大したもの)は、10月に再び下落に転じ、方向感を得られないままである。今回は、またも通信料が大きく下げたことに加え(図4G)、暖かかったために冬物の価格も低迷したことが寄与している(図4E)。後者については、その後の寒さで反動が出ることだろう。

これまでも述べてきたように、通信料を除いたコア物価は安定した上昇を続けており、この間に如何に通信料がディスインフレ(と大きなぶれ)を引き起こしてきたかがよく分かる(図6G~H)。通信料がとても重要な消費項目となったインターネット時代において、それを除いて消費者物価を議論することに意味はないが、逆に言えばもし通信料が下がっていなかったら、消費者物価は諸外国同様に結構なインフレを示していたはずである。ただし、景気が良くない中でのインフレは消費者消費者心理を下げるものであり、日本の低いインフレ率は通信料引き下げに執心した菅首相のもう一つの置き土産だったと言える。