藻谷 俊介

2023年5月31日2 分

CPI消費者物価 4-5月分

電気ガス補助金が導入された折に述べたように、補助金は季節調整グラフにおいては1か月の段差を生じさせるだけで、翌月からグラフは上向く。

今回、東京都区部は5月まで発表されたので、当社の速度計グラフは段差を織り込まなくなり、現在のリアルタイム・インフレ率を正しく示すようになった(図2H)。3か月の谷の間だけ、補助金が正しいインフレ率を分からなくしていたのである。同じことは2021年春の菅政権通信料値下げの時にも起こっている。ただ、一般的な前年同月比のグラフにおいては、補助金がその後12か月にわたって数値を小さく見せ続け、例えば右図では正しいインフレ率が来年まで分からなくなるのに比べれば、この3か月のトンネルはずっとましである。

今、図2Hの緑→で示されたように、ワープして現れた5月の正しいリアルタイム・インフレ率は3.9%である。これは、補助金導入前の4.5%よりは小さく、インフレが減速してきたことは間違いないが、正直なところ動きは緩慢であると言える。

これを、財とサービスに分けて考えると、財のインフレがワープして急速に小さくなったのに対し、サービスのインフレ(補助金の攪乱はない)は倍増している(図4L~M)。両グラフの3.6%と2.9%の加重平均が、図2M朱記の3.4%だ。その意味では右記事の見出しは変化を衝いているが、サービスインフレはまだ2%台で、2021年にもあった程度なので、アメリカのような状態ではないことは述べておく。

(パーソナル会員にも特別開示)