藻谷 俊介

2021年5月30日1 分

CPI消費者物価 4-5月分

当冊子のキーチャートである図2Mは、GoToキャンペーンが表面的に作り出した物価下落がU字溝のようなデフレ谷を作ったり、4月に携帯通信料の値下げがあったりして、極端に上下しており、底流のインフレ率が見えにくい。ただ、図中に黄色く架橋したように引いてある太線が示す年率0.3%程度の勾配は、引き続きトレンドとして見て有効であるように思われる、と言うのが先月号のまとめだった。右図のように前年同月比で見て、流れがデフレであると見誤らないことが肝要と言うことである。

その点で、東京5月の焦点は図2M末端がどっちを向くかであった。そして見ての通り、末端は上を向いた。つまり携帯電話の値下げ効果は4月に出尽くしたことと(図4G)、それ以外の項目でインフレに引っ張るものが依然として多いことから、特殊要因による段差があってもその後はまた物価上昇が始まることが示されたのである。弱いながらも底流はインフレであると言うことだ。