藻谷 俊介

2022年5月9日1 分

CPI消費者物価 3-4月分

先月号では、「インフレがいよいよ懼れられているが、G17レポートで示したように、ここまでのインフレ率の最大1.5倍程度が想定できるので、2×1.5=3%インフレあたりが当面の目安となると思う。円安の加速などがあれば、多少増える可能性もあるが、今の段階では見たこともないインフレにはならないと言うのが結論である。」と述べたが、4月の東京都区部では凡そその線に沿って数字が現出した。

前年同月比では、通信料値下げのマスキング効果がようやく外れ、昨年からの2%インフレがようやく可視化されたところだが、現実は当然先を行っている。当社が計算しているリアルタイム・インフレ率は、4月東京で3.3%になった(図2H、図2M青線)。生鮮食品の値上がりも含めたトップラインでは3.7%だ(図2M赤線)。右図のように消費増税による形式上のインフレを含むと7年ぶりだが、消費税の効果を除去するなら、当然バブル崩壊後初めて、すなわち約30年ぶりのインフレである。

とは言え、これを先行してドライブしている資源価格インフレは、同じくリアルタイムでは(円ベースでも)既に減速している(図6J~L)。従って、遅行する図2Hもここからはあまり上がらないと考えれば、先月号で予測の通り、日本ではせいぜい3%台で収まるインフレのように思われる。

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