藻谷 俊介

2022年3月25日2 分

CPI消費者物価 2-3月分

インフレがいよいよ懼れられている。ただそこで重要なのは、今のインフレ率がいくらかと言うことを正しく把握しておくことである。それなくしては追加的なインフレが何%と言っても意味がない。

これまでは底流インフレを見る図2M黄線をキーチャートにしてきたが、目下の戦争がもたらす生活におけるインフレと言う関心事を優先するなら、ここからしばらくは生鮮食品やエネルギーも含んだ総インフレ率(図2M赤線)を見る方が良いだろう。通信料デフレという菅前首相の置き土産がいよいよ消失し(図5Kの下げ止まり)、何も除かない総インフレ率が家計を直撃することになる。

右記事のように遅行する前年同月比では0.8%でも、図2M赤線の直近6ヶ月区間の平均伸び率の年率換算値 (=リアルタイムの伸び率、朱記)は3月中旬で2.2%である。通信料を除くベースでは、既に昨年からこのくらいのインフレにはなっていたわけで(図2D)、サプライズではない。ともかくこれが起点である。ここからどれだけ上乗せがあるかを考えなくてはならない。それについてはG17レポートで示したように、ここまでのインフレ率の最大1.5倍程度が想定できるので、2×1.5=3%インフレあたりが当面の目安となると思う。Weekly Economics 3/8号時点より、少し商品価格が落ち着いてきたので(図6J~K)、多少の下方修正となる。

もちろん、昨年のインフレの価格転嫁の残りや、今後の制裁強化、円安の加速などがあれば、多少増える可能性もあるが、今の段階では見たこともないインフレにはならないと言うのが結論である。

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