藻谷 俊介

2021年3月28日1 分

CPI消費者物価 2-3月分

最終更新: 2021年5月15日

GoToキャンペーンが表面上作り出した物価下落がU字溝のようなデフレ谷を作って、本来の物価推移を見えにくくしているが、底流のインフレ率は年率0.3%程度という状態が今月も続いている。

図2M黄線の末端近くに架橋したように引いてある太線が本来の物価推移で、その下の黄線が作るU字溝はGoToによる見かけ上の物価下落である。架橋線の勾配は年率で0.3%程度の弱いインフレで、これが今の本当のインフレ率である。

政府がGoToを再開して物価に谷を作るまでは、この太線の先の黄線がどう伸びるかを見ていくことになるわけだが、末端3月までの動きはほぼ太線の延長であり、取り立てて変化がない。底流インフレ率は現在もそのまま年率0.3%程度と言うわけだ。

コロナやGoToによるデフレの他にも、2020年は前半の国際エネルギー価格下落と、後半の日本特有の電気料金の遅行性によって、通年でエネルギー価格がCPIの足を引っ張った(図4C)。しかし、それもさすがに終わりを迎えたようで、グラフ末端は上がっている。従って、2021年はエネルギーを含むベースでも価格上昇が期待できる。図2Mの3本の線はそれぞれに右上がりの道を進むことになるだろう。ただし、底流を見るなら、あくまでぶれの少ない黄線を見ていく必要がある。