藻谷 俊介

2023年1月27日2 分

CPI消費者物価 12-1月分

日本ならではの遅行値上げ、宿年値上げが一部で続いており、インフレ率低下のペースは鈍いが、リアルタイムでのピークアウトは既に現実化しているので(図2D、2H)、報道における前年同月比での「40数年ぶり最高値更新!」の連鎖もそろそろ終わる。

つまり読者に改めて認識して頂きたいのは、2%→3%→4%と報道されるインフレ率は上昇してきたが、図2Dから言って5%はないと言うことだ。ここまでのデータでシミュレーションすると、4.3%あたりで進軍は止まり、そこから低下することになる。

お手元に先月号をお持ちなら、4頁のグラフ内朱記値(リアルタイム・インフレ率)を比較して、変化を見て頂きたい。報道のイメージとは異なり、食料(図4A)は11.4%→8.6%、光熱水道(主に電気代、図4C)は31.6%→29.5%とすでに減速している。後者は政府補助金で来月は更に大きく減速する予定。

逆に加速したのが、被服履物(図4E)で7.8%→15.8%、家具家事用品(図4D)で1.8%→4.7%となっている。前者は冬物衣料、後者は家具の上昇によるものだが、繊維や木材の国内企業物価はもう下落に転じているから、典型的な遅行値上げ、あるいは便乗値上げであり、続くものではない。また、教養娯楽(図4J)の上昇は全国旅行支援の一時的停止によるもので、これも永続的なものではない。

このように検討してくると、インフレ感を煽るような報道が、現時点ではいかに場違いかが見えてくるはずである。

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