藻谷 俊介

2020年12月26日1 分

CPI消費者物価 11-12月分

前年同月比で発表するせいでGoToによる値下げが12ヶ月も見え続けることになり、新聞もそれを毎月書き続けるわけだが、実際は8月に一度大きく下がったきりである(図3J、4J)。10年ぶり下げ幅と言うのも、それを加えてのものであるから、実は12月の物価下落の話ではない。この手の種明かしは永遠に書き続けなくてはならないようである。

当冊子は、すべてのグラフに季節調整をかけて、8月ではなく、今物価が下落しているのかいないのかを見るのが主旨である。図2Mが示しているように、エネルギーを除けば横ばい、含めれば下落であり、エネルギー価格が急落していることが(図4C、図5G)、全体としてのCPIを下げていることがわかる。犯人はまったくもってGoToではない。

ただ、エネルギーと生鮮食品を除いた図2M黄線にも力がない。それを示すのがこの冊子の中核であるリアルタイム・インフレ率チャートだが、11月に再びプラスになったのも束の間、12月はマイナスに戻ってしまった(図2H)。要はゼロインフレ、物価横ばいなのである。図2M黄線にはむしろGoTo前の5~7月の方が勢いがあったので、各種の割引政策がデフレ心理に繋がって物価上昇期待を抑制してしまったことも考えられる。とは言え経済全体としてはもう不況ではないので、横ばいが定着するとも考えにくいのである。