汨羅

2020年11月11日2 分

編集余録

最終更新: 2023年7月18日

10日19時のNHKニュースでは、ファイザー・バイオンテック連合のCOVID-19ワクチンに高い有効性が認められたことがトップニュースになっていた。まだ安全性の確保は不十分だが、抜きつ抜かれつの後、現時点で先頭を走っているのがこの2社連合である。問題はNHKによるこのニュースの進行だ。冒頭から有効性の報道をした後でいきなり「トランプ大統領は、ジョー・バイデンが大統領だったら、ワクチンはあと4年、できなかっただろう、と述べました。」と言う文章が、単独で挿入されたのである。わざわざこの一文を入れる理由が、どこにあるのだろう。

そもそもこのトランプの発言は、いつもの虚言である。まず、ファイザーはこのワクチンに対しトランプの「ワープスピード作戦」から支援を受けないことを公言してきた。そしてこのワクチンを実際に開発したのは、ドイツのトルコ系医薬ベンチャーであるバイオンテックであり、そこにメルケル政権は500億円相当もの支援をしている。つまりトランプはこのワクチンの成功にはまったく絡んでおらず、これは他人の手柄の横取り発言なのである。別の言い方をするなら、バイデンが大統領でもこの日の発表はあったのだ。

NHKは虚言であることの説明もせずに、ただ一方的にトランプのツイートを挿入したのであり、皆さん、負けたけどトランプ大統領には感謝しましょうね的な構成である。NHKニュースにおいてトランプの尺が非常に長いことには週報でも苦言を述べたが、バイデン当確後もその異形の肩入れには変化がないようだ。