別府 浩一郎

2021年9月25日2 分

9月FOMC後のFF金利予想カーブ

中国恒大集団への懸念が短期的に和らぎ、9月FOMCも無難に通過したことで、VIXは沈静化した。これまで何度も見て来た光景ではある。FOMCではテーパリングの年内開始方針が示され、政策金利見通しも22年末が6月FOMC時の0.125%から0.250%へ、23年末が0.625%から1.000%へ引き上げられ、今回から発表の24年末が1.750%となった。一方で、FRB議長は「利上げへのハードルは高い」ことを強調し、全体として、インフレを懸念する市場参加者にとっても、FRBのハト派姿勢を期待する市場参加者にとっても好感される内容となった。

FF金利先物清算価格に基づくFF金利予想カーブは、9月3日に発表された8月雇用統計後の下振れを完全に埋め合わせ、7月2日発表の6月雇用統計後の予想カーブの上に位置することとなった。更に遡って、6月FOMC後の予想カーブと比較すると、2022年12月と2023年12月の値はほぼ同じである。2024年末は6月FOMC後の0.945%に対し、今回FOMC後は1.070%まで上振れた。それでも、FOMCの見通し中央値1.750%よりはかなり下で、FOMCの予想上位・下位3つずつを除外した場合の予想レンジ0.9%~2.1%の下限に近い。FRB議長の利上げ慎重姿勢に近いとも言える。ただし、2024年の各限月は売買、建玉残ともほぼない点にも留意されたい。

先週後半の米国株はFRBの姿勢に対する安心感から大幅上昇したものの、米国家計純資産を個人可処分所得で割ったストック・フロー・レシオなどから見ると、資産価格の上昇は加速よりも漸次沈静化することが望ましいことは間違ない。