藻谷 俊介

2022年11月15日1 分

7-9月期GDP一次速報

下表が示すように、遡及上方修正の0.2%を加えると、市場が本日、新規に織り込む必要のあるマイナス成長は0.1%分のみ(最下段)。マイナス成長!と声高に叫ぶ必要などないレベルで、5頁の国際比較においても目立って悪くはない。しかも、右記事の内閣府の説明通りであれば、実質輸入の突出は今回限りの特殊要因であり、それがなければプラス成長だったことを意識する必要がある。表面的なものであっても、僅かであっても、待ってましたとばかり「マイナス」に飛びつく昨今のメディアの風潮には違和感を覚える。

NHKニュースは個人消費の弱さを殊更強調していたが、近年経験したことのないインフレを十分に打ち消して、実質で消費が増え続けていることを先ず伝えるべきであろう(図4B)。筆者にはむしろ強すぎると思えるほどだ。同様に設備投資も少し強すぎるくらいであり(図2G)、これを合わせて内需が弱いと報道する姿勢は、将来の歴史家をして断罪せしめる必要があるだろう。それが無意味な景気対策を呼んで、子孫の代になおさら大きな借金を残すのだから。

世界中に懸念材料は転がっているが、その中で実際の世界経済統計は均せばまずまず成長を続けており、リセッションの影も今のところは見えないのは御の字ではあるまいか。