藻谷 俊介

2021年11月15日1 分

7-9月期GDP一次速報

当社の直前SGRI予測との総額比較ではほぼマッチしており(下表、青部分)、発表当初は違和感を感じなかったが、後で中身を見るとかなり変だと思える数字。下段の政府数値は、民間設備投資(IP)が大きなマイナスとなり、その分輸出(X)のマイナスが小さく、輸入(M)のマイナスは大きく、要はネット外需がプラスとなっているのだが(図2K)、これは基礎統計の描く姿とまったく異なる。

民間設備投資は、図2Gが示すように、多くの視点から見て堅調であり、GDP統計だけが下がらなければいけない事情が見られない。逆に、7-9月の貿易収支は対米自動車輸出のマイナスが大きいために急落している(図4A)。市場予測平均がかなり強気だった点にも違和感を感じていたが、下表の下段にも相当な違和感を感じるわけだ。

7-9月期は世界GDPも勢いがなく、もともとのトレンド延長線(黄線)とのスラックが拡大している(図4J)。7-9月はインドが反発してくるので、出来上がりはここまで低調ではないと思うが…

国別(図5頁)では日本の劣勢がよく分かる。感染者が多くても、なし崩し的に経済正常化を進める欧米と、防疫と安全に資源を割き続ける東アジアと、そのどちらにもなれない日本。それでもなし崩し的な開放で、10-12月期は反発してくると想定しているが。