藻谷 俊介

2022年4月11日2 分

2月の統計を概観して

生産予測は再び上向いているが

先月号では、オミクロンの増勢によって人流が減ったせいか、1月は少しグラフがぎくしゃくしていると述べた。2月も一部に似たような調整感が残るが、はっきりと悪化に転じたものは見当たらず、鉱工業生産の計画修正幅は縮小し(図B)、2月生産と目先の予測値は再び上向いた(図A赤線)。

鉱工業生産以外、かつ金融相場以外のサイクル指標を見る図Eは、ごく僅かに低下したが、昨年の上昇対比で問題にすべき悪化ではないだろう。

消費は連続してマイナス(図F)。このところ何でもインフレのせいにする風潮が見られるが、実質表示の図Fだけでなく、名目金額指数でも低下しており、むしろ後述する所得にその原因があると考えている。ウクライナ侵攻の影響も2月の大半についてはなかったと言うべきだろう。

所得を示す図Lは、残念ながらデータの不連続によって判断が付きにくく、現在対策を模索中である。ただ、ここにない総務省の家計所得データでは、名目でも1月に大きく下落後、2月は底ばいとなっており、昨年の景気調整の影響が遅行的に続いていることが示されている。

世界の生産サイクルは、2月までは至って軒昂であった(図Q)。輸出数量指数が急落しているが、これは瞬発的に加速したインフレによる実質化が原因で、今は計算上のものである(図R)。ただ、インフレの第3波は図S~Tにも現れ始めていて、3月以降の情勢にはまだ用心が必要である。