別府 浩一郎

2021年12月19日2 分

12月FOMC後に低下したFF金利予想カーブ

先週のFOMCではテーパリング加速と利上げ前倒しが決定された。発表当日の水曜こそS&P500株価指数は1.6%上昇したが、木曜、金曜は下落。FRBが金融正常化への歩を速める中、先週指摘したS&P500株価指数の52週騰落率の沈静化が進展しそうである。セクター別相対株価では、とことん冴えなかったディフェンシブの生活必需品、ヘルスケアが上昇した。これまで圧倒的にアウトパフォームして来たITがある程度調整するのは止むを得ない。もっとも、「金利上昇がIT株の息の根を止める」という状況でもない。

FOMCのFF金利見通し中央値は22年末0.875%、23年末1.625%、24年末2.125%に切り上がった。それに対しFF金利先物価格から算出した各年末のFF金利は0.720%、1.300%、1.580%とかなり低い(12月17日時点)。12月10日と12月17日のFF金利予想カーブを比べると、23年3月以降の部分は12月FOMCを経てむしろ低下した。米国債のイールドカーブもより平坦化した。FRBが遅まきながらタカ派色を強める中、金融市場はその先を行っている。

11月の米国中小企業楽観度指数は前月比0.2ポイント上昇したものの、力強さは全く無い。「今後6ヵ月の経済全般見通し」は前月比1ポイント低下の-38。5ヵ月連続の低下で、12年11月と並んで過去最低水準。今月10日に過去最高値を記録したS&P500株価指数とは隔絶している。もちろん、バイデン政権にとっては好ましくない数字だ。足元では懸案の大型歳出法案が民主党の中道派上院議員の反対により成立を危ぶまれている。こうした状況も金融市場には当然反映されているだろう。