藻谷 俊介

2022年2月15日1 分

10-12月期GDP一次速報

かなりのプラス成長であったことに筆者も異存はないが、多少上振れしている気がする。下表が示すように7-9月期の遡及改定が0.3%(年率1.2%)もあった上に10-12月期の1.3%が乗っかっているから、予測ベース対比の成長率は1.6%(年率6.6%)もあり、実際は右記事の市場予測も上回っているわけだ。

特に強すぎると思えるのが話題の民間消費(CP)である。GDP消費をミミックする2つの月次指数(内閣府の消費総合指数と総務省の総消費動向指数)との外れが拡大しているのである(図4B)。遡って見ると、日銀の消費活動指数(青線)だけはもともと外れが大きいが、GDP消費を示す赤線は、消費総合指数(黄線)と総消費動向指数(緑線)とならほぼ合致して動いてきた。ここもとそれが外れてきており、GDP消費だけが一人強いという結果になっている。正直言ってここまでの消費の強さは、どの月次統計からも窺えない。

残念なことに、それだけの消費と、ネット外需の反転上昇(図2K)のダブル追い風があっても、図5頁における日本の位置は今のところ最低である。慢性的な経済活動の低迷には、いつまで経っても「ないない尽くし(ワクチンがない、検査キットがない、飲み薬がない、ベッドがない)」の日本の防疫体勢が間違いなく効いているはずだ。