藻谷 俊介

2022年3月3日1 分

10-12月期 法人企業統計

財務諸表も季節調整ベースで見るのがスフィンクスの方法であり、当レポートはその点が他社にない最大の利点である。水準が分からない上に判断を遅行させる前年同期比ではなく、あくまで7-9月期までと比較し、併せて長期的な水準や流れを見ていくことになる。

2頁で損益計算書を上から見ていこう。売上は前期比で増加してついにコロナ前を上回り(図2A)、原価の伸びはあったがそこまでではなかったので(図2B)、粗利益は急増(図2C)。販管費(図2D)と人件費(図2E)もまずまず増加したが、営業利益は大きく改善(図2G)。営業外利益も全般に増えたので(図3E~G)、経常利益も堅調な増加となった(図2H)。

コロナ対応で一旦は上昇した労働分配率(売上対比の人件費)は、反動で減少が続くが(図3A)、設備投資(図2J)は反発。手元現金は減っている(図3L)。

Weekly Economicsで述べてきたように、10-12月期はワクチン免疫が高く維持され、しかもオミクロンの感染拡大の前だったので、感染者数、死者数とも極小の四半期だった。そのため4頁以降を見ると、内需中心の非製造業の回復が著しい。製造業は原価の上昇で利益が圧迫されている様子が見えるが、実額としては引き続き史上最高水準にある。中小企業の業績も7-9月期では尽くプラスで、日本企業全体として見れば、10-12月期は久々に良い四半期だったと言えるだろう。